即決裁判
ゴールデンウィークのまっただ中,即決裁判の期日が行われます。
いわゆるホームレスの方の窃盗事件です。
即決裁判は,平成16年に新設された制度で,事案が明白・軽微な事件につき,公判期日1回のみ開き,かつその場で判決を下すという,相当斬新な手続です。
なんといっても最大の特徴(被告人にとっては特長)は,この手続が維持される限り執行猶予が付されることになるということです。
裁判制度全体からいえば,比較的軽微で被告人も認めている事件について,簡易な手続で済ますことができるのは,有限の人的資源を他の重大な事案に注入することができることとなり,有意義なことであると思います。
ただ,一つ問題は,被告人が,執行猶予になることが分かってしまうので,真に反省する機会を失ってしまうというおそれがあることです。
心理学・精神医学等の用語で,「底付き」という言葉があります。
「底付き」とは,自分ではなんともできないというどん底感を味わうことを意味します。アルコール中毒患者には,この感覚が今後の立ち直りには必要とされています。
逆に,底付きを経験しないアルコール中毒患者は,自分でなんとかコントロールできると過信して,少しだけなら飲んでもいいか,と勝手に戒めを解いて再びアルコールにはまっていくことが多いのです。
執行猶予だからといって,自己の犯した犯罪を軽微なものと考えられることはさけなければいけないと思います。被告人には,家族の心配を伝えたり,反省文を書かせたりして,なんとか反省を促したいところです。
さて,裁判は「即決」ですが,弁護人の仕事は,判決で終わるわけではありません。定まった住居のない被告人の場合,ときには,切符等を手配して,東京駅まで同伴し,実家のある地方にきちんと帰るかどうか見届けるという業務も待っています。検察官からはきちんと送り届けてくれと迫られるし,家族に「今度こそ実家に帰るように強く言ってください」と託されることもあるわけです。
松井
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