親が娘を思う気持ちは,はかりしれません。しかもひとり娘ともなると格別なのでしょう。ご自身の法律相談の合間に,ひとり娘の行く末を切に案じるご両親がいらっしゃいました。自分たちの老後の心配をおいて……。
さて,不貞行為は,民法770条1項1号で離婚原因とされていますから,たんなる道徳の話のみならず,法律問題ともいえます。たとえば,女性が妻子ある男性と不倫をすれば,当然,離婚原因を作り出し,ある家庭を破壊することにもつながります。また,場合によっては,その妻や子に対し,男性との共同不法行為として民事上の損害賠償責任を負うことにもなりえます。このように,不倫が悪いと説明するのは法的にも可能です。それゆえ,娘から,どうして不倫をしてはいけないのか,などと面と向かって質問されることもあまりないでしょう。
また,付き合っている男性がいる場合に,浮気をしてはいけないことも,相手を裏切るのであるからしてはいけないことであると,容易に娘に説明することができるでしょう。
では,特定の相手がいない場合,乱れた生活をしていいのでしょうか。もし,あなたが東京でひとり暮らしをしている娘から「私は彼氏がいないのだから誰と遊んだっていいじゃないの。」と面と向かって言われたらどうしますか。何か反論すべきだと思いながら,どう答えてよいか分からなくなってしまうのではないですか。
私は,いまだ娘がいないのですが,すでに答えを用意してあります。
「将来お前とつきあう男性が現れたときに,その男性がお前の乱れた過去を知ったら悲しむのではないか。たしかに,不貞行為や不倫とは異なり,同時期に相手を裏切ることにはならない。しかし,乱れた生活をしていることは,いま誰も裏切っていないようにみえて,その実,将来の大切な相手を前倒しで裏切っていることになるのではないか。それは,つまるところ,同時的か異時的かの違いこそあれ,結局は不貞を働くのと同じである。」
聖なる夜に 松 井
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